5G回線の普及により、スマホなどの携帯端末で動画を視聴する機会が増えました。それにつれてweb上の広告も静止画から動画が主流になりつつあります。この動画を使った動画マーケティングについて、その種類、メリット、制作、活用方法などについて解説します。
動画の広告が、パソコンやスマホに表示され、思わず手を止めて見てしまうことがあります。こうした動画を使ったマーケティング方法では、商品・サービスなどの映像を動画プラットフォーム・SNSプラットフォームに配信することで、集客やブランディングを行います。YouTube、Instagram、Twitterなどを通して若者を中心に動画に接する機会が増え、ユーザーの生活の中に自然に溶け込んでおり、動画マーケティングは広告市場での影響力が高まっています。
動画マーケティングとは?今注目されている理由
最近、スマホやパソコンでwebサイトを見ていると、静止画の広告に代わって動画広告がよく表示される事に気づく方も多いでしょう。サイバーエージェントによると、動画広告の市場規模は、2024年には約5000億円に達するそうです。
インターネット環境が整備され、携帯端末が普及する中で、動画コンテンツを用いた動画マーケティングが注目されています。
動画マーケティングとは何か?
動画マーケティングとは、映像、アニメなどの動画コンテンツを使って行うマーケティング手法で、情報量の多い動画を使ってユーザーの商品やサービスに対する関心を高めることができます。
もともとネット上では、文章や画像の広告が掲載されていましたが、ネット回線の高速化により、現在ではスムーズに表示されるようになった動画広告の掲載が増えてきました。
ネットでの集客・販促活動であるWebマーケティングには、コンテンツマーケティング・SNSマーケティングなどがありますが、動画マーケティングもその1つと言えます。
動画マーケティングが今注目されている理由
動画マーケティングが注目され始めたのは、Wi-Fiスポットなどネットワーク環境のインフラが整ったことで、外出していてもスマホやタブレットで動画を見られるようになった頃からです。
今では動画を見る機会が非常に多くなり、動画マーケティングが広告手法として注目されています。
5G回線が普及すると、通信速度が4Gの毎秒1ギガビットから5Gでは毎秒10ギガビットと超高速になります。ネット動画の視聴者を悩ませていた動画が途中で止まって静止画になったり、音声が途切れたりすることがほぼなくなり、動画がどこでも見られる環境となります。
また、5Gでは遅延も改善され、4Gの1/100秒の遅延が5Gでは1/1000秒ほどの遅延に短縮されます。ビデオ通話が遅れることもなく、クラウドに保存した動画も待ち時間なく見ることが可能です。
さらに5Gでは多数同時接続が行えるので、カメラや家電などが簡単にネットに接続でき、いつでもどこでも動画が見られる環境が整いました。
マーケティングにこうした動画を使用することで、幅広い年代層に向けて商品やサービスの内容を簡単にわかりやすく伝えることができます。
YouTubeやInstagramなど、動画を拡散しやすいSNSの普及により、さらに動画マーケティングは注目を浴び続けるでしょう。
動画マーケティングにより認知度が上がる
動画マーケティングは、文章、静止画によるマーケティングより、認知度を大きくアップさせる可能性を秘めています。
企業の商品やサービスがどんなに優れていても、ユーザーが数多いwebページの中から、それを見つけださなければ、何の意味もありません。
目を引くようなわかりやすい動画マーケティングでその商品やサービスをPRすれば、認知度が高まるでしょう。
さらに動画はSNSなどを通して、静止画より拡散されやすいので、認知度アップに役立ちます。
魅力をわかりやすく伝えて、売り上げアップに貢献
動画は、文章などに比べて、イメージを感性に訴えることができると言われます。商品やサービスを使っているところのイメージ映像は、直球的にユーザーの脳に浸透し、購入意欲が高まって売り上げアップにつながるでしょう。
ある実験で、商品を紹介する動画を見たグループと見ていないグループを比較したところ、見たグループの方が見ていないグループに比べて約10倍も購入意欲が高まったそうです。
また、特に商品説明、サービスの利用方法などは、静止画や文章で説明するより、動画の方が格段にわかりやすくなり、ユーザーに喜ばれると思います。
動画マーケティングの種類
動画マーケティングにはどのような種類があるのか見ていきます
商品・サービス紹介
動画は、多くの情報量を有しており、商品、サービスなどの特徴を詳細に伝えることが可能です。操作方法が難しい商品、内容が理解しにくいようなサービスでも、動画を使えば、ユーザーに魅力を訴求することができます。
また、屋外サイネージなども、動画を流すことができますので、一種の動画マーケティングとして検討してみても良いでしょう。
L’Oréal Paris France
https://www.youtube.com/user/lorealparis
ヘアケア商品の使い方の動画で、商品の良さをユーザーに伝えた例を紹介します。従来は店頭販売がメインでしたが、店舗で行っている説明や美しいイメージの動画を制作し、オンラインでの売り上げが伸びたそうです。
ブランディング動画
ブランディング活動とは、企業のブランド理念、企業ビジョン、世界観などをユーザーに訴えて知ってもらう活動のことです。
この場合も、動画の活用が効果的で、単に性能や価格について説明する商品・サービス紹介動画とは一線を画し、ブランドに対する共感、信頼感を高めることなど、ユーザーとの心のつながりに重点を置いています。
株式会社エース
https://youtu.be/x9IIP6UYbwQ
株式会社エースが運営するカラーコンタクトレンズを販売するEC サイト「QUEEN EYES」では、ユーザー数を増やすために動画素材を活用し、YouTubeの動画でアプローチできるTrueView動画広告の配信を行いました。
動画内にウェブサイトへのリンクを貼り、ディスプレイ広告と比べてCPA(顧客獲得単価)を約40%削減、視聴率は約20%を記録し、企業のブランディング活動に役立ちました。
アプリ紹介動画
さまざまなスマホのアプリを開発する会社が増えていますが、動画によりアプリの持つ特徴、操作、イメージなどを簡単に説明することができます。
美しい映像でユーザーの離脱を防ぎ、操作方法を簡単に分かりやすく見せて、アプリに対する信頼度を高めることも可能です。
SNOW
https://youtu.be/CV1SKA4h7Wg
若者から圧倒的に支持されているカメラアプリであるSNOWの紹介動画です。
映像撮影したものをスライド式に編集して、メインユーザーの高校生らを登場させ、親近感あるイメージのおしゃれな動画に仕上がっています。
ゲーム
ゲームソフトの場合、キャラクター、ストーリー、操作説明などユーザーに伝えたい内容がいろいろありますが、文章や画像による説明だと長くなりがちです。
動画を使用すると、アニメの動き、イメージなどを短時間で魅力的に情報を伝えることができ、SNSで拡散されやすくなります。
Fate/Grand Order
https://youtu.be/G9nHP6aRsjE
2019年のモバイルゲーム課金売上ランキングが1位だったアプリ「Fate/Grand Order」の動画広告です。
ゲームに流れるBGMに合わせて、キャラクターが登場し、その迫力満点の戦闘シーンにより、ゲームの世界観に引き込まれていきます。
会社案内系
動画の情報伝達力を使えば、会社の業務内容をわかりやすく訴求でき、経営理念なども表や図、文字を組み合わせて表現することができます。
工場、設備、研究所など普段は公開できない場所も映像、ナレーションにより、実際に訪れたような気持ちで見てもらえて、信頼感、安心感につながります。
社長、社員らのインタビューなどが盛り込んであれば、親しみも感じられます。
伊藤忠商事株式会社
https://youtu.be/qEJn6k775Rk
実際の業務内容を、動画で見せるとともに、可視化が難しい部分はグラフィック、アニメなどを活用、理解が深まります。
社長のインタビュー映像で、経営方針などもよくわかります。
マニュアル系
商品の使用方法、マナーなどをわかりやすく伝えるマニュアル動画は、さまざまなユーザーに対して商品やサービスの価値をアップさせながら訴求できます。
食品会社が提供する料理の作り方などの動画は、文章や写真の説明よりはるかに分かりやすく、まさに動画によるマーケティングに最適と言えるでしょう。
マンガでわかる リンベルマナー劇【Vol.01】
https://youtu.be/Gb2JWrTmF-E
カタログギフト会社のリンベルが、人に贈り物をあげるときのマナーを、かわいいマンガの動画で解説しています。マンガやイラストの動画は、CG技術が進歩した現在、実写の映像よりも低コストで制作可能です。
動画とテンポの良い音楽の視聴で、マナーが自然と身につくような楽しい内容です。
投資家向け
企業の決算発表というと、パワーポイントによる解説、ページ数の多い冊子による広報などが主流でしたが、最近は動画の活用がよく見られます。
1年間の会社の活動内容、経営方針を映像で紹介し、セグメント情報は動きのあるグラフで表示するなど、動画の利点が活かせる分野です。
IR(株主、投資家向け広報活動)として、財務情報、経営内容を動画でわかりやすく詳細に伝えることで、株主や投資家の共感が得られて信用度が高まります。
株式会社 資生堂
https://youtu.be/SmyaiQRt3ck
やや長めの動画ですが、会社役員がインタビューに答える形式で、細かいIR情報を、グラフなどを使いながら、次々に切り替わる映像で紹介していきます。
女性向け化粧品などを展開する会社ですので、女性役員が社内での女性の活躍状況などを説明していくところに親しみが感じられます。
人材
人材採用にも動画を活用するケースが増えています。一般ユーザーへの認知度が低いBtoB企業でも、動画を活用すれば会社の魅力を発信することができ、応募者数の増加が見込めます。
一方、ブランド力が高く応募者数が多い大企業でも、会社が求める社員像や、実際の業務内容を動画でしっかり見せておくことで、仕事のミスマッチによる若手社員の早期退職などを防止できます。
SOMPOケア株式会社
折り込みチラシやweb求人広告に広告を掲載していましたが、業態への認識不足からか、応募者数があまり伸びていませんでした。
そこで、サービスへの理解を促すため、社員が登場し、実際にコミュニケーションをとりながら高齢の方の介護を行っている内容の動画広告を展開、応募者数が増えたそうです。
動画マーケティングのメリット・デメリット
このようにマーケティングの手法として広がりつつある動画マーケティングですが、新しい広告形態ですのでメリットが多い反面、デメリットもあります。
それらについて詳しく見ていきます。
動画マーケティングのメリット
スマホやタブレットが広く普及し、Wi-Fiなどの通信インフラが整ったことによりユーザーが動画広告を目にする機会は大きく増えました。
このように動画広告によるマーケティングが普及してきた背景には、文章、静止画によるマーケティングには見られない効果が期待できるからです。
動画マーケティングにより、商品やサービスの認知度を高めてユーザーに訴求できる効果としては、まずSNSなどを通して幅広い世代にアピールできる広告宣伝効果が挙げられます。
さらに、動画マーケティングでは世界大手の動画配信サービスであるYouTubeはもちろん、Facebook、Instagram、TwitterなどのSNS、自社webサイトなどさまざまな配信先があります。配信先が多いので、1つの動画コンテンツを多方面で活かすことができます。
魅力的ある動画コンテンツを投稿すると、ユーザーによって拡散されて、幅広い世代の目に留まり、思わぬ広告効果をもたらすこともあります。
動画を自社のwebサイトやランディングページに配置すれば、SEOの評価が上がる効果も期待できます。Googleの検索エンジンが、動画にはコンテンツとしての価値があると高く評価しているからです。
特に動画のタイトルや説明、タグといったテキスト情報にも配慮し、ユーザーが検索しているキーワードをテキスト情報に含めることも大切です。
ユーザーが求める情報と内容が一致する動画をwebサイトに設置することで、さらに検索エンジンでの評価が上がりやすくなります。
また、動画マーケティングでは、コンバージョン率向上の効果も期待できます。
コンバージョン率とは、webサイトへのアクセスのうち、最終的な成果である商品の購入やサービスの申し込みにつながった割合のことです。
動画広告は、実写映像やアニメなどを用いることで、文章で伝えるより短時間で多くの情報を伝えられ、より魅力がアピールできて成果に結びつきやすいという訳です。
凝った動画にこだわらなければ、後述しますように無料の動画編集ソフトを使い、比較的低予算で制作することも可能です。
自社のwebサイトがなくても、YouTubeなどを活用して動画配信が可能なので、運用コストも割合に安く抑えることができます。
その他、生まれた時からスマホやPCに身近に接しているデジタル世代の若者に動画は浸透しやすく、海外マーケットへのシフトを考える企業にとって、言語の壁を超えて情報伝達が行える、などの点で動画マーケティングは有利だと言えます。
動画マーケティングのデメリット
一方、動画マーケティングには新しい広告の形態としてのデメリットもあります。
特に中小企業の場合、まず自社に動画制作できる人材がいないということが挙げられます。新しいことを始めるときは、経験者がいないとなかなか前に進めないものですが、動画マーケティングに関しても当てはまります。
社内に動画制作の知識やノウハウを持った人材がいなければ、動画マーケティングの企画段階から行き詰り、何から始めればいいかも全くわかりません。自社で動画制作をするときだけでなく、制作会社へ外注するにしても適確な指示を出せないため、満足できる動画ができず、せっかく制作してもマーケティング効果が得られない場合も出てくるでしょう。
そもそも何を動画にしてよいのかわからないユーザーも多いと思われます。企業活動のほとんどを動画にすることは可能ですが、会社・施設案内、導入事例、人材採用、IR、マニュアル、研修などのどこに重点を置いて、動画を制作するかを検討しなければなりません。
また、動画制作には当然のことですが、制作コストと時間がかかります。
どれだけ凝った動画を制作するかにもよりますが、一般的に動画制作は、次のような制作過程が必要です。
①動画制作の方向性決定②シナリオの作成③撮影④編集-といった作業です。
これらすべてが完了するまでの日数は、作る内容によりますが、数週間から数カ月はかかると見ておいた方がよいでしょう。
制作会社に制作を依頼するとさらにコストが高くなります。人件費、企画構成費、撮影費、編集費、配送費などが自社制作よりも余計にかかり、安くて数十万円、凝ったものだと数百万円はかかると考えておく必要があります。
こうして、動画が完成しても動画マーケティングのノウハウがないと、成果が得られないこともあります。
動画制作会社ではマーケティングまでは考えられず、マーケティング会社、広告代理店でも、従来の文章、画像の広告媒体を中心に展開してきた会社では、動画を効果的に使いこなすことができないケースも見られます。
動画マーケティングで本当に成果が出たかどうかもわかりにくいので、制作とマーケティングを外注するときには動画の専門家とマーケティングの専門家の両方がそろっている会社を探す必要があるでしょう。
動画マーケティングの主な媒体とその特徴
動画マーケティングに活用できるSNSなどの媒体は多数あります。それらについて紹介します。
YouTube
YouTubeは20代・30代・40代が最もよく使っている動画プラットフォームと言われており、商品購入の高い動機づけにもなっているそうです。
そこで、商品を紹介する動画、アプリ紹介動画、ゲーム紹介動画などはYouTubeに掲載するのが最も効果的と言えます。
特にモバイルでの1セッション当たりの視聴時間が40分以上と利用時間が長い点が特徴で、再生時間の長い動画広告の場合はYouTubeの活用が最適です。
YouTubeに動画を掲載する場合は、YouTube広告を出稿するケースと自社でYouTubeチャンネルを開設するケースの2つのパターンが考えられます。
商品、サービスを訴求したい潜在ユーザーを確実にキャッチするという点から見ると、ユーザーの嗜好・関心・年代・地域などのターゲティング設定が行えるYouTube広告の方が有効かもしれません。
画像を中心としたSNSサービス、Instagramの場合、利用者は中高生ら10代〜20代であり、YouTubeよりも若年世代の方が多くなっています。利用を通して商品の認知、購入に関する影響を受けやすい年代も若年層ですので、これらのユーザーをターゲットにする場合は、Instagramが有効と言えます。
Instagramのタイムラインとストーリーズには、最長120秒までの動画広告を掲載することができ、視聴者にPRできます。
Facebookにも動画広告が出稿できます。動画広告はInstagramと同じく、タイムラインおよびストーリーズに掲載可能です。
最近の傾向として、Facebookは基本的に本名での投稿なので、それが敬遠されているためか、ややユーザー離れが進んでいます。利用者の世代も40代から60代が中心で、Instagramよりも高めの傾向があります。
Instagramと逆に、これらの世代をターゲットにする場合はFacebookが有効と言えます。
また、Facebookでは空いた時間にスマホなどで動画を視聴するユーザーが多く、短めの動画の方が、効果がありそうです。再生時間の理想は30秒間~1分間で、短い動画コンテンツで、簡潔に商品、サービスの魅力を伝えることを考えましょう。
TikTok
TikTokは、中国発祥の短編動画共有プラットフォームで、ポップな音楽と動きが表現できるのが好評で、10代を中心とした若年層を中心に利用者が増えています。
最近ではサントリー、キリンやワイモバイルなど国内メジャー企業による参入も広がっており、動画マーケティングの新たな展開の場となっています。
自社サイトやメルマガ
さまざまなSNSなどへの動画の掲載について説明してきましたが、企業などが自ら運営するwebサイトに動画を掲載することも、一種の動画マーケティングと言えるでしょう。
当然のことですが、自社サイトを検索して、わざわざ来訪してくれるユーザーは、社名や業界を目指して来てくれる、商品購入やサービスの申し込みにつながる可能性の高い、ターゲットになりうる顕在層です。
彼らに自社の業務内容、商品、サービスについて動画でわかりやすく解説することは、コンバージョン率のアップにつながります。
メールマガジンを定期的に配信している企業では、そのメルマガに動画を掲載しても動画マーケティングになります。
動画マーケティングを成功させるための動画作成ポイント
動画マーケティングをコンバージョン率のアップに結びつけるには、やはり動画のクオリティが重要です。
最初の5秒~8秒が重要
動画にたどり着いたユーザーが視聴を続けるか、離脱してしまうかは、最初の5秒から8秒が勝負だと言われています。
マイクロソフトの調査でも、オンラインでユーザーが初めて見たコンテンツに注意を払う時間は8秒前後という結果が出て、アメリカでは「8 Seconds Rule」などと呼ばれているそうです。
そこで、最初の8秒ぐらいのコンテンツの制作が非常に重要となります。マーケティングの成功を左右しますので、動画の目的を短時間で伝えられる映像を駆使し、ユーザーの心に響くように工夫しなければなりません。
ターゲットにあったものを作成
商品、サービスのターゲットユーザーを細かく調査分析して、そのユーザーの最適に訴求できる配信方法を検討します。
動画コンテンツの場合、ユーザーのニーズに合ったものを制作する必要があります。
その後、ユーザーの世代、し好も考えながら、Instagram、Twitter、Facebookなどの中で、最適なSNSを活用して、拡散方法も検討していきましょう。
ストーリーを大事に
動画制作では、まずストーリー、シナリオを考えることがポイントになります。ストーリーの制作にはストーリーテリングという手法があります。
相手に伝えたい思いやコンセプトなどを、それを連想させる印象的な体験、エピソードなどの物語を引用し、例示することで聞き手に印象付けるという方法です。
①主人公が登場し②主人公に困難や課題が立ちはだかり③それを克服するために成長や変化を遂げ④ハッピーエンドで完了―といった感じです。
主人公にあたるユーザー、社員を登場させて、困難・課題を克服しながら、どのようにハッピーエンドを迎えるのか、構成を練っていく必要があります。
また、ユーザーがスマホのマナーモードで視聴する可能性を考えますと、動画に字幕説明を加える構成を考えることも基本的なポイントです。
本題に早く入り、視聴するメリットを伝える
動画では、早く本題に入り、動画コンテンツをユーザーが視聴するとどんなにいいことがあるか、そのメリットを正しく伝えなければなりません。
前述しましたように、8秒以内が基本ですが、企業がマーケティングのために作った動画の中には、イメージ映像などのオープニングだけで8秒以上かかっている場合もあり、その企業の商品などにかなり興味のあるユーザーでないと、離脱してしまうかもしれません。
最後はユーザーに行動喚起を促す要素を埋め込む
動画コンテンツの作り方で最初の8秒間と同様に重要なのが、最後の終わり方です。
動画コンテンツの最終目的はマーケティングですので、メッセージや重要な行動喚起に結びつけるために、ユーザーを飽きさせずに、最後まで視聴してもらうような作り方がポイントになります。
結論を出し惜しみして間延びさせることがないように余計な部分はカットし、なるべく短縮したほうが良いです。
商品、サービスなどの詳しい情報があるwebサイトへのリンクURLを動画の説明欄に入れ、さらに詳しく知りたい場合はwebサイトにアクセスするように言ったり、SNSへの拡散をお願いしたりして行動喚起の要素を盛り込む工夫も必要です。
無料で動画編集できるサービス5選
NHKクリエイティブ・ライブラリー
その名のとおりNHKが提供する無料サービスで、ニュースや過去の番組から切り出した約7000本の素材を動画作成に利用できます。
簡単な動画のカットと接合、テロップの追加などが直感的に操作可能です。
「グリーティング動画」「吹き出し動画」など、決まった枠に映像を入れるだけで動画編集ができる便利な機能も備えています。
NHKの高品質の素材を使って動画を作りたい場合に最適と言えるでしょう。
WeVideo
「WeVideo」は、Googleが提供する基本機能は無料のオンライン動画編集サービスです。
Google Chromeの拡張機能から利用でき、iOS/Android用のアプリも提供されており、外出先での編集も行えます。Googleドライブへ保存できるため、制作チームがオンライン上の動画ファイルを共有でき、共同での動画編集も可能。
動画のカット、テロップ挿入、切り替え効果、BGMなどの基本機能は無料で提供され、より高機能な有料版も用意されています。
有料版では①クラウド容量の増加②動画の時間上限の延長③動画解像度のアップなどの追加機能があるほか、サポートも付いてきます。
kizoa
「kizoa」は、ビデオ編集・ムービー作成・スライドショー作成が簡単に行え、想い出を動画にしてシェアできるオンラインソフトです。
数十種類ものテンプレートが用意されているため、動画や写真をテンプレートに入れていくだけで、簡単にシーンに合わせたイメージ動画が作成できます。美しい動画はコンテンツの導入部などにも使えます。
作成した動画はワンクリックでFacebook、YouTubeや、ブログに追加してシェアできます。
特殊効果やアニメーションも多数が用意され、それぞれがカスタマイズ可能なので、編集の自由度が高いです。
Clipchamp Create
「Clipchamp Create」は、2014年からサービスを開始、100ヶ国以上で約1300万人のユーザーに使用されるオンライン動画編集サービスです。
基本的には無料ですが、本格的な機能を搭載、さまざまな動画編集が行えます。
動画編集だけでなく、コンプレッサー、コンバーター、ウェブカメラレコーダーなども利用可能で、あらゆる動画ニーズに対応します。テンプレートも多数が用意されていますので、初心者から上級者までレベルに合った多彩な編集機能が使用可能。
こうした豊富な機能により、企業の広告動画やプレゼンテーション用の動画から日常生活の動画作成まで幅広く対応します。会社でもプライベートでも動画編集を行いたい方におすすめと言えます。
無料版では動画に透かしのサービスロゴが入りますが、有料版では消すことができます。
CM STUDIO
CM STUDIOは、ビジネス動画に特化した動画編集ソフトで、動画マーケティングのコンテンツ制作に適しています。
動画の編集自体は無料で行えますが、完成動画の購入には別途3万円がかかります。
動画のテンプレートを選択し、それをベースに自社の動画や画像、文字を入れていくだけで動画が完成するのが特徴。多数のイメージ画像や動画、音楽などの素材が利用可能ですが、こちらも有料となります。
広告やマーケティング向けのCM動画を手軽に作りたい場合、選択候補に入れるといいかもしれません。
まとめ
コロナ禍でなかなか表立ってセールスマーケティングできない企業にとっても、動画は外に出なくても撮影可能です。また動画は若者との親和性が高いので、若い人をターゲットする場合にも有効です
動画マーケティングをはじめるにしても動画編集用のツールがありますので是非活用してみてください。