※この記事は2020年6月19日に公開した記事をリライトした記事です。
スマホが普及にするにつれて、各種SNSも百花繚乱で、多くの人々が複数のSNSを使っている状況にあります。もともとパーソナルの意味合いが強いSNSですが、利用者が増加し、大きな影響を持つインフルエンサーらが登場、ビジネスの世界でも注目されています。系列で分類した各SNSの特徴と、これらをさまざまなマーケティング手法で活用していく方法を、実例を挙げながら解説していきます。運営する上での注意点も述べます。
SNSの種類
SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)には、その機能、対象とするユーザーの違いにより、さまざまな種類のものがありますが、SNSマーケティングを実践する場合は、その目的に合ったものを選ぶ必要があります。
そこで、人気のあるSNSを機能別に分類し、それぞれのターゲット、特徴などについて説明、どんなSNS広告に効果があるかも見ていきます。
投稿系のSNS
投稿系のSNSとしてまず思い浮かぶのはFacebookかもしれません。SNSとしては早く登場した方で、世界中で最も多いユーザー数を誇ります。
月間の利用ユーザー数は全世界で約24億人、日本で約2600万人と言われています。
名前、学歴、職歴、趣味、好きな音楽、写真、ライフイベントなどの情報が掲載されており、基本的に実名登録なので、知り合いになった人、学生時代の同窓生らのページを探しやすいです。文章のほかに、画像や動画などを利用して、コミュニケーションをとることができ、友達を増やすことも比較的容易です。
プロフィールなども詳細に記載されていますので、趣味、ライフイベントなどを参考に、ターゲットを明確にした広告配信が行えます。
しかし、実名登録ということで、10代の若者、特に女性にとっては個人情報の公開に抵抗があるからか、利用率が低く、この世代は広告ターゲットとしては不向きかもしれません。
そこで、30代~40代のやや高めの年齢層をターゲットに高品質の商品、サービスをPRするのに適しています。
ページ機能として、企業や団体のホームページとして使うことも可能で、情報、イベントなどを掲載することで、集客、PRに結びつけられます。
実名登録制で、炎上しにくいという特徴もあり、シェアなどの拡散機能も充実、幅広くマーケティング活動に利用できます。
国内のユーザー数はやや減少気味ですが、海外では一番有名なSNSとして人気が根強く、海外マーケティングにおいては、特に重要な役割を果たすでしょう。
「ツイートする」「バズる」「いいね」などSNSに関するワードの流行の原点ともいえる先駆的なSNSです。テキストメッセージを中心とする投稿でコミュニケーションが図れます。
日本国内の月間利用ユーザー数は約4500万人 とFacebookを上回っていますが、世界ではFacebookよりかなり弱く、約3億4000万人だそうです。
テキストの他に、画像、動画も投稿でき、最新のトレンド情報を収集したり、イベントなどの実況ツイートに活用したり、さまざまな利用法があります。
シェアのための「リツイート」機能があり、お気に入りの投稿を見つけたら、タップするだけで、自らのフォロワーに表示、拡散できます。
広告配信も行えますが、Twitterの広告はリツイートされれば、その拡散の費用がかからないため、シェアされるような面白い商品、サービスなら効率的にマーケティング活動が実施できます。
企業がTwitterページを開設し、友達としてユーザーとやり取りをして情報を提供、知名度を上げているケースも見られます。
拡散性の高さを生かしたTwitterキャンペーンを利用する企業も多く、参加するユーザーが増えているようです。
米国のトランプ前大統領のTwitterがよく話題として取り上げられていましたが、政治家や芸能人も広報活動の一環として活用しています。
拡散力が高い反面、ハンドルネームでの登録が可能で、炎上しやすいというリスクがあり、全くのデマが流れるケースも見られるので気をつけましょう。
mixi
mixiと聞くと、懐かしいなあと思われる方がいらっしゃるかもしれません。日本国内で2004年に開設され、毎日の出来事を投稿できるところが斬新だったパイオニアともいえるSNSです。mixiで初めてSNSを体験した方も多いと思いますが、日本最大級のSNSとして、隆盛を誇っていたものの、2012年にFacebookに追い越されて、今ではSNS全体の中での利用率は数%と低迷しているようです。
自分のページにアクセスした人がわかる「足あと」機能、スポーツ・趣味などのコミュニティに参加して、スポーツの練習、趣味の集いで交流を広げるなど当時としては画期的な仕組みで重宝されていました。
しかし、今となってはmixiで行えることは、もっと利用者の多い他のSNSでもできますので、あえてmixiを選ぶ人は少ないでしょう。
Tumblr
Tumblrは、Twitterとブログを合わせたような機能が特徴的です。
ユーザーはテキスト、写真、画像などをブログのように投稿することができます。
ブログと異なる機能として、「リブログ」があり、他人の面白い投稿を、自分のフォロワーに勧めることで、Twitterのように拡散が可能です。
Mastodon
MastodonもTwitterによく似ていますが、ソースコードが無償で公開されるオープン形式で、小規模なコミュニティの連合として運営されているのが異なる点です。2016年に開設され、1年後には日本でもブームになりました。
ユーザーは、インスタンスと呼ばれるコミュニティに所属し、サービスを利用します。インスタンスごとにルールと管理者が違うため、Twitterのような一極集中の管理でよく見られるユーザー間のもめ事を回避できます。
日本では、Pixivが運営するpawoo.netの登録者が一番多く、その他にさまざまなインスタンスが存在、現在もユーザーは増え続けている模様です。
note
テキスト、アニメ、写真、音声を投稿できるサービスで、誰でもコンテンツを投稿できます。月間利用ユーザー数は約1000万人で、ビジネスマンの投稿が多く、業界でも注目されています。
他人をフォローして交流する点は他のSNSと同様で投稿もフリーです。テーマを設定したイベントもたまに実施されています。
企業の公式アカウントが、投稿を募集するケースも見られ、マーケティング、情報収集に活用されているようです。
メッセンジャー系のSNS
LINE
LINEは日本国内で最大のユーザー数を誇り、月間利用ユーザー数は約8600万人に達しています。通話も無料で行え、メッセージトークが中心のツールとして、人気を博しています。
利用するユーザーは、20代から40代の世代が多く利用していますが、操作方法が比較的簡単なため、50代から60代の高い年齢層の方も利用しているのが特徴と言えます。
豊富な数のスタンプを活用して、コミュニケーションが図れて、グループを作ってチャットによるメッセージをやり取りするなど、幅広い機能を備えています。
LINE広告を配信できますが、ユーザー数が多いので、幅広い世代への広告波及効果が見込めます。
また、LINE広告は、ユーザーのトーク一覧画面、LINEニュース、LINEマンガなど、同社が提供する他のサービスへも配信できるのが特徴です。
ただし、友達として追加してもらわないと、ユーザーに情報を届けられませんので、無料スタンプの提供など魅力あるキャンペーンを展開して、友達追加してもらいましょう。
これにより、ユーザーとより深い関係が築けます。
Skype
かつては、インターネット通話で有名でしたが、10年ぐらい前からは後発のLINEなどの影響を受けて、ユーザーが大幅に減ってしまいました。
2003年に登場、世界で月間利用ユーザー数が3億人以上の時代もありましたが、今はビジネス界の方でよく利用されているようです。
現在は、知り合いによるソーシャルネットワーク機能が追加されて、LINEやSnapchatに近いSNSに進化しました。
中国発祥のSNSで、同国が中心ですが10億人以上のユーザー数を抱えているそうです。
メッセージ、チャット、音声メッセージなどの機能を備え、モバイル決済機能もあって、利便性が高くなっています。
カカオトーク
こちらは、韓国で最大のメッセンジャー系SNSで、メッセージ、無料通話、画像、映像、チャットなどの機能を持っています。
アカウントが不要で、手軽に始めることができます。
WhatsAppは、利用者が20億人以上という世界有数のメッセンジャー系SNSで、メッセージ、画像、映像などの送信機能のほか、位置情報の共有も可能です。
欧米を中心に人気が高いのですが、日本ではLINEに押されてユーザー数が伸びません。
アカウントがスマートフォンに登録されている電話帳と連動し、両者が同アプリをダウンロードしていれば、どこから電話をかけてもネットワーク上であれば通話料がかからないという特徴があります。つまり、無料の国際電話ということで、欧米では人気が高いのですが、各国が密接していて国際電話の利用が高い欧州と日本では事情が違い、ユーザーの伸び悩みに関係しているかもしれません。
現在は、Facebookグループとなり、同社がサービスを提供中です。
写真系のSNS
若者がよく使う「インスタ映え」の語源となっている、代表的な写真中心のSNSです。写真投稿と、それに対するフォロー、コメント、いいね、などでコミュニケーションが取れます。
日本国内の月間利用ユーザー数は約3300万人、世界では10億人以上でさらに伸び続けているようです。
ユーザーは20代から30代の女性が多く、男性の比率は40%ぐらいで、日本では女子高生にも圧倒的に人気があります。
写真、動画のほかに、「ストーリー」と呼ばれる24時間で消えるショートムービーも斬新で、今やっていることをアピールしたい若者に人気です。親しい友達に1回見てもらえれば、タイムラインのように残らなくても構わないという訳です。
美しい写真、動画がポイントで、「インスタ映え」するスポット、観光地などが話題になって集客に結びついているほどです。
一方、Twitterなどに比べると拡散性は低いので、広告を利用することが必要です。美しい写真や動画でブランドイメージを象徴させる、または数万人以上のフォロワーを有するインフルエンサーに企業のPRをしてもらう「インフルエンサーマーケティング」での活用法が考えられます。
Instagramを利用する女性は投稿されるコンテンツを消費行動の参考にしているそうですので、広告の効果は高いと思われます。
2012年にFacebookに買収されましたが、日本では利用ユーザー数が、親会社のFacebookを上回っています。その魅力の高さから世界でもFacebookを上回る日がそう遠くないかもしれません。
Snapchat
Snapchat は、写真共有型のSNSで、ユーザーは写真、動画を個人やグループに送信できます。多彩なフィルターで写真を修整することができますが、写真、動画は数秒間で消去されるところが他のSNSと大きく異なる点です。
消去時間は10秒までの間で選択可能で、いい写真を投稿したいけれど、写真がずっと人目にさらされたりするのが嫌だ、反応を気にせず気軽に投稿したいと考えるユーザーのニーズに応えて一時は大きく伸長しました。
しかし、後発でInstagramのストーリー機能が登場したことで、影響をこうむり、ユーザー数は減少しているようです。
ただし、広告収入は増えていますので、広告によるマーケティング効果はまだまだ大きいということが言えます。
Pinterestは少し毛色の変わった、写真系SNSです。
ユーザーは、投稿された画像や外部webページの画像を収集し、ボードと呼ばれるマイページに載せます。自分の趣味、嗜好に合ったマイページを作りあげることができ、フォローはユーザーだけでなくボード単位でも行えますので、欲しい情報だけを選択できると人気を集めているようです。
日本国内の月間利用ユーザー数は数百万人とまだ少ないですが、世界では約4億人と結構多く、特に米国ではユーザー数が多くなっています。
動画・音声系のSNS
YouTube
多くのフォロワーを集めて、マスコミにも注目される「ユーチューバー」を生み出した最も有名な動画配信プラットフォームです。投稿とチャンネル登録・高評価・コメントなどでコミュニケーションが図れます。
インターネットで動画を視聴するユーザーのほぼ全員がYouTubeを利用しているそうで、日本国内の月間利用ユーザー数は、約6500万人、全世界では約20億人と、SNSではFacebookに次ぐ勢力を誇ります。
日本では幅広い世代のユーザーに利用され、女性よりは男性の比率がやや高くなっています。
アカウント登録しなくても動画を気軽に見ることができ、アカウントの作成により、無料で動画の投稿が可能となります。ライブ映像の配信機能、ストーリー投稿の機能などもあり、ライブコマースなどで商品の宣伝が行えます。
投げ銭システムのスーパーチャットで収益を上げていくという活用法もあります。
Googleのサービスの1つでもあり、Googleのビッグデータを活用した広告配信も可能。今後の利用もますます増えそうな勢いです。
TikTok
15秒の映像を軽快な音楽とともに配信するSNSで、エフェクトやトリミングなどで動画を編集、BGMも多種多様で、中高生らを中心に絶大な人気があります。直観的に操作できるところも、若年層に大流行している要因だと思われます。
中国発祥で、2016年にサービスが開始されました。
日本の月間利用ユーザー数は約950万人で、全世界では5億人に達しています。
スマホの縦型画面で見やすいようになっており、音声・楽曲にあわせて訴求力の高いアクティブな動画を配信できます。
TikTokの起動時に広告を表示したり、ユーザー参加型コンテンツとして広告を配信して大きな拡散に結びつけたり、さまざまな広告連動が考えられます。
SHOWROOM
アーティスト・アイドルの動画ライブを配信するSNSです。
無料で視聴でき、コメントなどで交流することが可能。誰でも生配信を行うことができ、オーディションにも活用されています。
日本国内におけるライブ配信アプリの収益ランキングではトップで、他のライブ配信アプリに比べてアイドルやタレントら有名人が利用している点が特徴的です。一般の方のコメントにアイドルが応えるという日常を超越したコミュニケーションが取れることも普及の理由でしょう。
ユーザーがルームと呼ばれる配信ページにアクセスすると、自身で設定したアバターを出現させることができ、ユーザーがアイドルを応援する感覚が肌で感じられるため、投げ銭やギフトが頻繁に行われています。
17Live
台湾の企業が制作したもので、日本では子会社のベンチャー企業が運営しています。
アジア圏を中心に、全世界での利用者が4000万人を超えていますが、内容はSHOWROOMとよく似ています。視聴者からの投げ銭が運営会社の主な利益です。
投げ銭を多く獲得したランキングの上位者は、アプリストアの広告モデルとして起用されることがあり、メディアで紹介されるかもしれません。
Clubhouse
Clubhouseは音声を中心にコミュニケーションを行うソーシャルメディアで、音声版Twitterとも呼ばれます。
プラットフォーム上に作成した仮想のチャットルームで、世界中の人たちとリアルタイムで音声のやり取りができます。ユーザーはアプリ内の好きなテーマの部屋を探して入室、話に参加したり聞いたりすることができます。
また、ユーザーは誰でも部屋を作成することが可能で、部屋の入退室も自由です。言うならばパーティ会場で、さまざまな話題・テーマについて語る小グループが形成されている感じです。
友人、知人の会話から、ライブやトークイベントにまで発展する余地があり、マーケティング活動にも使えると思われます。
今までのSNSとは少し違うコミュニケーションが行えるため、アイドル、インフルエンサーらも注目しており、今後の展開が期待できそうです。
ビジネス系のSNS
ビジネス系のSNSもいくつかあります。
Linkedinは、米国で2003年にサービスが開始された世界最大クラスのビジネス系SNSです。
日本では2011年にスタートしましたが、まだそれほど普及していません。
ユーザーは勤務先、役職、スキルなどを履歴書に書くように入力し、業界内での人脈づくり、人材確保など、ビジネスにおけるさまざまなニーズに利用できます。
ビジネス用のSNSなので、一般的に私的な情報交換はあまり行われないようです。しかし、個人と企業を結びつける機能は豊富に揃っていて、営業活動やマーケティングにも役立てることができます。
2016年にMicrosoft社が買収、今まで順調に成長しており、今後も世界中で利用者の増加が見込まれます。
Wantedly
これは、日本発祥のビジネス特化型SNSです。
人材採用のためのSNSで、企業は自社の魅力、求職者は自らの経歴、スキルをPRし、採用のためのマッチングを行うものです。
中途採用のほか、最近では新卒やインターン採用にも活用されています。
その他のSNS
Zenly
Zenlyはフランスで生まれた位置情報を活用した一味違うSNSです。
自分の現在地と友達の現在地・滞在時間・移動速度などがリアルタイムで表示され、若者のほか、小さな子どもを持つ親が子どもの位置を把握するため、よく活用しています。
SNSを使ったマーケティング手法と各事例
これらのSNSを使ったマーケティング方法について説明していきます。
SNSアカウント運用
企業や店舗が自社のSNSアカウントを開設して、運用し自社の商品、サービスなどに関して情報を発信していきます。
写真や動画を駆使しながら、情報発信力の大きいSNSで企業ニュースやお得な情報、さらにブランドイメージを前面に押し出していけば、ファンとなるユーザーの心をつかむことができるようになるでしょう。
商品やサービスに関心を持った人を企業の公式ホームページ、ショッピングサイトへ導いて、集客増にも結びつけられます。
アンケートを活用すれば、ユーザーからの意見を商品開発にフィードバックすることが可能になります。
事例
日産自動車のInstagramアカウントです。
フォロワーは586万人にも上る人気アカウントで、商品であるクルマのスタイリッシュな写真を投稿する格好いいページです。
美しい風景をバックに疾走するクルマなどの写真が、若者からミドル世代までの支持を集めているようです。
また、同社のクルマを愛車にしているユーザーのInstagram写真を見つけ、それを自社アカウントに「リポスト(再掲)」させてもらうことで、コンテンツの作成負担を大幅に削減している点は、SNSアカウント運用の参考になります。
SNS広告配信
それぞれのSNSプラットフォームは、オリジナルの広告配信サービスを行っています。
テキストだけのリスティング広告などに比べて、写真、動画などのコンテンツで、分かりやすい広告を提供することができ、宣伝効果は大きいと思われます。
年齢、性別、仕事、趣味などのデータをもとに、きめ細かなターゲティング広告を打つことができ、効率よくマーケティングが行えます。
予算と求める広告効果に合わせて、さまざまな広告出稿を企画でき、フレキシブルに対応できる点が大きなメリットです。
事例
宅配ピザでお馴染みのドミノ・ピザのTikTokアカウントです。
20万人近いフォロワーを抱える人気のアカウントです。
TikTokはさまざまな形態の広告を配信することができますが、これは「ハッシュタグチャレンジ広告」というもので、ハッシュタグ(#)を設定し、そのハッシュタグに関係ある動画の投稿をユーザーに呼びかける広告です。
ドミノ・ピザでは「#ドミノチーズ100万」というハッシュタグを設定、ピザのチーズが伸びる様子の動画を投稿するように、ユーザーに呼びかけました。
有名なTikTokインフルエンサーに「#ドミノチーズ100万」の動画投稿を依頼し、さらに話題を集めました。
ユーザーに参加してもらうことで、広告と思われないような娯楽的な要素を含んだ広告手法です。ドミノ・ピザのブランド認知、ピザの売り上げ増に結びついたようです。
SNSキャンペーン
SNSキャンペーンとは、ユーザーにSNSに参加してもらうことで、消費行動を促すキャンペーン手法です。
自社SNSアカウントのフォロワーの増加、自社の商品に関する写真・動画投稿の増加、キャンペーン情報の拡散、店舗やイベントへの来店促進などがその目的になります。
SNSキャンペーンにより、ブランドについて興味を持っているユーザーにそのブランドをさらに印象づける効果が見逃せません。
新規ユーザー獲得に結びつくものとして、季節ごとにキャンペーンを展開すると良いでしょう。
事例
サントリーフーズが販売する清涼飲料「ペプシコーラ」の公式Twitterアカウントです。
約110万人がフォローしており、SNSキャンペーンに活用されています。
2020年7月には、ユーザーに向けて、「#本田と勝負祭り」というSNSキャンペーンを実施しました。
海外でも活躍したサッカー選手の本田圭佑さんと、じゃんけん、カードバトル、コイントスの勝負ができるもので大変話題になりました。
勝負について投稿すると、自動で勝負の結果が届く仕組みで、ユーザーが勝てば「ペプシジャパンコーラ 」1本が合計16万人に当たるキャンペーンで、毎日1回ずつ挑戦することができましたが、なかなか勝てないことがテレビで取り上げられました。
約400万人が参加して、ペプシコーラの売り上げ増加に結びついたようです。参加者を集めやすいSNSキャンペーンを通してのマーケティング活動は今後ますます盛んになってくるでしょう。
インフルエンサーマーケティング
インフルエンサーマーケティングとは、SNSで強い影響力を持つユーチューバーらのインフルエンサーによるマーケティング手法です。
多い人だと数百万人ものフォロワーを抱えるインフルエンサーに商品やサービスを宣伝してもらうと、大きな訴求効果が生まれます。
さらに自社商品、サービスがグルメ、ファッション、エンターテインメントなどに関するものの場合、その専門のインフルエンサーに登場してもらうと、より信頼度が高まります。
SNSに投稿してもらうだけでなく、店舗に来てもらったり、商品を使ってもらったりして、感想を書いてもらうのもいいでしょう。
また、新商品を開発するときに企画段階からインフルエンサーに参加してもらい、アドバイザーとして契約を結ぶ方法もあります。
ユーザーのひとりとも言えるインフルエンサーが登場することで、宣伝色が薄れるのも、消費者に好感を持たれると思います。
事例
チャンネル登録数が900万人を超える人気ユーチューバー、ヒカキンさんとタイアップしたのが、ファッションのユニクロです。
2020年11月から12月にかけて、ユニクロの創立36周年を記念して「誕生感謝祭」と名付けたセールを開催、ヒカキンさんを起用しました。
ヒカキンさんの家に巨大な段ボールが届き、その中に入っていたユニクロのモフモフアイテムや新作アイテムを面白おかしく紹介していくというものでした。
ヒカキンさんのキャラを生かした動画は数百万回再生され、SNSマーケティングとしては、大成功と言えるでしょう。
ソーシャルリスニング
ソーシャルリスニングとは、SNSを通して集めたユーザーの意見のビッグデータを活用して行うマーケティング手法です。
商品、サービスについて、SNSでどのようなレビューがあるか、どのような写真、動画が投稿されているかなどを集計していきます。
企業による単なるアンケートと違って、ユーザーの自然体の思い、印象を集めることができます。
広告配信の効果測定、業界トレンドの把握、商品の評判、イメージ・口コミ内容の商品へのフィードバック、ユーザーニーズの把握、競合品の分析、風評被害への対策などさまざまに活用できます。
事例
パナソニックの充電式電池「eneloop」が、約100万人のフォロワーを持つFacebookページでソーシャルリスニングツールを利用し、競合の「DURACELL」と「Energizer」との比較を行いました。Facebook投稿の中で最もエンゲージメントの高かったものと、競合他社の投稿を比較しています。
それによりますと、
eneloop | DURACELL | Energizer | |
シェア数 | 18 | 70,000 | 19 |
リアクション | 197 | 1,000,000 | 12,775 |
コメント件数 | 187 | - | - |
となり、eneloopの投稿はシェア数が18、リアクションは197件、コメントが187件でした。
一方、Energizerは、シェアは19とeneloopと変わりませんが、リアクションは12,775件と非常に多かったです。しかし、コメントは圧倒的に少なく、コメント件数では、eneloopが優位に立っていたようです。
DURACELLは世界のすべての国のFacebookを一つにまとめているので、リアクション数は100万を超え、シェア数も7万回を超えていました。
7万回もシェアされているDURACELLの投稿を見て、eneloopの担当者はかなり参考になったそうです。
SNSを実施するステップ
SNSマーケティングの方針を決める
最初に、SNSマーケティングを行う目的を明確にしなければなりません。
商品・サービスの売り上げを伸ばす、ブランドの認知度を高める、情報を発信する、市場調査を行う、イベントで集客をする―など具体的な目標を決めましょう。
実際にSNSマーケティングを行っている企業では、自社のブランディングや認知度アップを目的として行っているところが多いです。
そして、Facebook、Instagram、Twitter、LINEなどのSNSから目的に合ったものを選びます。
ターゲットとなる年代、男女比などを考慮し、利用者が多い最も適したSNSを選びましょう。
マーケティングの手法は、自社のファンをつかんで、情報発信を行いたい場合は、SNSアカウント運用、企業のブランドや新商品を広めたい場合は、SNS広告やインフルエンサーマーケティング、集客に結びつけたい場合は、SNSキャンペーン、といった感じで決めていきましょう。
担当を決める
その次に社内での専任の担当者を決めます。他の仕事との兼任では、あまり良いコンテンツができない可能性が高くなりますので、人員が確保できない場合もあるでしょう。
その場合は、とりあえず1つだけ力を入れるSNSマーケティング施策と専任者を決めて、ノウハウがたまったら、施策と専任者の数を増やしていくと良いと思われます。
SNSマーケティングは、その種類によりノウハウも異なるため、専門チームで運用した方がより効果が上がるからです。
どうしても社内に適任者がいない場合は、外部の代理店などに頼むしかありません。
目的達成のためのKPIを設定する
取り組むSNSマーケティングや担当者が決まったら、目的達成に向けてKPIを設定します。KPIとは目的達成のために設ける重要指標のことです。
・SNSを見てからの購入数を毎月100個増加
・月間の自社のアカウントのフォロワー数を1000人増やす
・ユーザーからの商品、サービスに関する投稿を月間50件獲得
といった感じです。
使用するSNSを決め、アカウントを作成する
次に実際に使用するSNSを決定し、アカウントを作成していきます。
アカウントが「目立つように、会社のロゴがあれば、アイコンに使いましょう。
プロフィールもよく見られますので、ユーザーが見てすぐに内容が分かるように、簡潔で要点を押さえたものにしましょう。
- アカウントの作成方法
facebook.com.にアクセスして、「新しいアカウントを作成」をクリックします。
次に名前、メールアドレスまたは携帯電話番号、パスワード、生年月日、性別と入力し「登録」をクリックします。
最後にメールアドレスまたは携帯電話番号を確認すれば、アカウントの作成は完了です。
Twitterのアプリをインストールし、名前、電話番号またはメールアドレス、生年月日を入力していきます。
「Twitterコンテンツを閲覧したウェブの場所を追跡」の設定を行い、入力した内容を確認「登録する」をタップします。
認証コードによる認証、パスワード設定、プロフィール画像設定、自己紹介の入力、と進んでいきます。
アドレス帳の連絡先を同期し、興味関心のあるトピック・アカウントなどを選んで終了です。
コンテンツ作成、投稿などを行う
いよいよ、テキストや画像などのコンテンツを作成し、投稿して長期的に運用していきます。
コンテンツは、画像、動画、テキストなどを駆使して、ユーザーの目を引くものを作成しましょう。
自信がない場合は、広告代理店やライターに作成を依頼しても良いです。
コンテンツが完成したら、SNSにアップロードします。
投稿回数は1日1回、できれば2、3回と多くし、いろんなハッシュタグをつけて見てもらえるようにします。
時間帯は、会社や学校が終わってユーザーが帰ってくる午後8~9時ぐらいがいい場合が多いようです。会社や学校が始まる前の朝の時間帯もねらい目です。
データから分析を行い次回の施策に生かす
最後に収集したデータを分析してフィードバックすることが大切です。
予定通りにKPIが達成できているかを確認し、できていれば成功要因を挙げて、できていなければ課題を探ります。
さらに高い成果を得るための改善策を検討、次回のSNSマーケティングに生かしていきましょう。
常に競合商品のSNSをチェックしたり、人気のインフルエンサーをピックアップしたりすることも大切です。人気のあるSNSを分析しながらSNSマーケティングの施策を向上させていきます。
SNSでマーケティングをする際の注意点
SNS広告でマーケティングを実践するにあたり、気をつけなければいけない点がいくつかあります。
最適なSNSマーケティング手法を選択
SNSマーケティング手法は、自社商品、サービスによく合ったものを選ばなければいけません。
当然のことですが、SNSはプラットフォームごとにユーザーも、得意な分野も違います。
世代別では、若者をターゲットにするならInstagramやTwitter、中高年向けの商品をPRしたいならFacebook、といったようにターゲットの利用者が多いSNSを選択することが大切と言えます。
SNSアカウントを運用する場合、どこのSNSプラットフォームを使い、ユーザーにどのようにブランドを訴求し、どのようにコミュニケーションするか、方針を固めておく必要があります。
SNSは企業対個人のコミュニケーションツール
もともとSNSは企業などが多数の人とコミュニケーションするものではなく、個人と個人がコミュニケーションするために生まれました。
個人対個人のコミュニケーションだと思い、コメントなどにきめ細かく返信することで、ユーザーとの関係がより深いものになります。
幅広い知識を身につける
SNSマーケティングを行うには、担当者が日ごろから自身のパーソナルSNSを活用しながら、どうすれば「いいね」が増えるのかとか、その細かい活用法、利用するユーザーの分析などを行い、活用するSNSプラットフォームをよく理解することが大切です。
SNSマーケティングは、デジタルマーケティングの1種とも言えますので、その知識や経験も身につける必要があります。
また、SNSは日々進化していますので、常に新しい情報を仕入れてコンテンツ制作やITの知識習得も怠らないようにしましょう。
画像や動画も大切ですので、人気のあるコンテンツを研究するなどしてクオリティを高めていくと良いでしょう。
専任の担当者を置く
写真、動画、テキストなどのコンテンツがSNSマーケティングの成否のカギを握っています。
そこで、コンテンツの質を高めるため、他の仕事を兼務していない専任担当者を是非とも置きたいところです。コンテンツ制作はもちろん、SNSの状況分析、フォロワーのコメントへの返信、など手がけることは多いので、兼任の社員ではせっかくのSNSマーケティングがおろそかになってしまいます。
日ごろのSNSの更新、改善がマーケティングにおいて、重要なポイントになりますので、どうしても専任できる社員がいない場合は、新規に人材採用を考えてもいいほど大切なことです。
曜日、シーズンに合わせて、投稿を工夫する必要もあり、代理店の活用も選択肢の1つに入れてもいいかもしれません。
炎上リスクに注意
SNSは拡散性が高いので、良い情報を広げるにはとても便利なツールですが、逆に悪い情報、デマもあっという間に広がります。
特にマイナス的要素の情報が広まることで起こるいわゆる「炎上」には注意しなければいけません。
炎上はちょっとした不注意から意図せずに起きますので、炎上リスクを最小限におさえるため、常に投稿のチェックを怠らず、マニュアルに沿った運用を行いましょう。
万一、炎上が起きた場合に備えて、その対策マニュアルも作成しておくと安心できます。
まとめ
SNSはもともと個人どうしのコミュニティに関するものでしたが、多くの人に利用されていることもあり、企業から見ても多くのビジネスに結びつけるチャンスが生まれます。
SNSマーケティング手法には、述べてきましたようにSNSアカウント運用、SNS広告配信、SNSキャンペーン、インフルエンサーマーケティングなどさまざまな方法があります。
Instagram、Twitter、Facebookを始め豊富な種類の中から目的に合ったSNSを選び、SNS広告を出稿してマーケティングを進めていきましょう。
SNSは、世界中でネットワーク網が張り巡らされており、ユーザーは相当な頻度で利用しています。今後もその傾向はますます加速化すると思われますので、常に各サービスの動向に注意して、新しい機能が付加されたら取り入れることを考える必要があります。
また、SNSマーケティングはすぐに目に見えて効果が出るものではありませんので、高感度のコンテンツをまめに投稿するなどして長期的な観点で成果を上げていくと良いでしょう。